「視聴率1%=100万人」と、効果の高さは群を抜くテレビを利用したPR。いまや新聞は一番発行部数が多い紙でも年間1,000万部以下(つまり1日あたり30万部以下)、雑誌に至っては1万部超えで「上々な売れ行き」という評価の時代にあって、テレビは際立った数字を示します。
が、それだけにテレビPRへのアプローチに気後れしてしまう広報担当者も少なくありません。
テレビPRは確かに簡単ではないですが、やり方次第。プレスリリースではなく、商材情報を盛り込んだ番組企画書の提案もそのひとつです。ここに、テレビPR向け企画書制作の王道をまとめました。まず、PRしたい製品やサービスについて、以下の項目を書き出してみましょう。
①独自の強み(競合から見た優位性)は何か?
まずはPRしたい商材ならではの、独自の強みが何か、改めて書き出します。
商材をできる限り多面的に眺めて、さまざまな角度から長所を書き出していきます。商材そのものの特長はもちろん、開発段階のストーリー、関わった人々の個性などまで。
②独自の強みを表す言葉は何か?
「強み」を表現できる言葉を考えます。最近のトレンドワードを意識します。特に「映像ありき」のテレビPRなら、目にした途端映像が浮かんでくるような言葉を考えましょう。トレンドワードは『日経トレンディ』誌やyahoo!等の検索ワードが参考になります。「行列」「激安」「デカ盛」「はみ出る」などがわかりやすいと思います。
③視覚的なインパクトがあるか?
テレビ番組担当者が気にするのは、映像としてのインパクトがあるかどうかです。「巨大な●●」「インスタ映えする●●」といった調子で表現できると、番組のイメージが浮かびやすくなります。形のないサービスであれば、そのサービスを利用した場合とそうでない場合を映像化できるかどうか考えましょう。ダイエット効果のある下着を紹介するなら、下着そのものは地味なビジュアルでも、使用前使用後で一目瞭然に変化した人の写真があれば強烈な印象を残せます。効能を長い文章で説明するより、2枚の写真がすべてを物語ります。
④取材対象先(シーン)を複数提示できるか?
「●●が発売されます。良いですよね」ではなく、「●●が発売されると、こんなにこれから便利になります」と展開できないと番組にはなりません。商材を基軸に起こり得る変化、社会への影響があってこそ、話題になり、視聴者の興味を惹きます。また、どんなに価値のある情報でも、テレビは映像を用意できなければ話になりません。たとえば、超有名人が大病にかかり、ひん死の状態というニュースは話題にはなるけれど、病室に取材に行けるわけでもなく、テレビ的には映像をどうしようか悩んでしまいます。ですから商材を放映してもらうためには、商材そのもの以外にも映像になる関連した取材先をなるべくたくさん用意しておく必要があるのです。「場所」(売り場、開発室等)、「人」(専門家、担当責任者、愛用者等)、「発表までの過程」(開発エピソードにまつわる映像、没になった製品等)、「関連イベント」(セミナー、モニター会等)、「コミュニティ」(ファンクラブの集会、関連団体等)というような具合です。
⑤PRの対象だけでなくその周辺情報も用意し、公平感を出せるか?
番組は社会全体を俯瞰したうえで厳選した話題を届けることを信条としています。公平性も重視します。従って、情報番組で一社の商材だけを取り上げるケースは稀です。3~4つの商材をまとめて紹介し、トレンド、社会現象としてコーナーをまとめる傾向にあります。企画書のテーマに沿った横並びの商材(競合他社である場合が多い)の情報、さらにそれらが社会に与える総合的な影響力なども敢えて盛り込んでおくと、多忙な制作マンから重宝がられることが少なくありません。
以上、まずはこの5つを整理して、テレビ局向けの企画書を制作してみてください。プレスリリースよりも、売り(強み)は長文でなく適格な一言、映像になることをふまえてビジュアル重視、複数の取材先や周辺情報による全体像が見えるような内容を心掛けて書いてみましょう。