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BtoB企業に効く広報・PR

1. BtoB企業に広報・PRが必要な理由

BtoB企業の広報・PRは難しいという声をよく聞きます。特定市場に理解されればいい業態だから、広報・PRは必要ないと言う方すらいらっしゃいます。

しかし、AGAや村田製作所など、頻繁にCMを投下するBtoB企業も少なくありません。実際、村田製作所は広告・宣伝費を大幅に増額してテレビCMに力を入れた結果、日経イメージ調査で1200社中800位以下から200位以内にまで躍進したと当時の広報部長大島幸男氏がセミナー等で公表しています。

同氏は「村田製作所が大企業だから広報や広告に注力できるのではなく、必要だからやっている。BtoB企業で広報・PRが軽視されがちな理由は、いくつか誤解があるからだ」とも力説されています。その“誤解”を大島氏の見解とともに見ていきましょう。

企業の名前、業務内容を広く知ってもらうことは、
・営業面で有利になる
・優秀な人材を採用するチャンスが広がる
・従業員の意欲を高める

というようなことに繋がります。

ただし、BtoB企業の広報・PRはBtoC企業のそれとは確かに異なる点があります。「経営戦略に紐づいた広報・PR」でなくてはならないことです。

たとえば、この項の冒頭にあげた広告投下で目立つBtoB企業に関して言えば、AGCは100年以上もの歴史ある社名を旭硝子から変更したことを超人気タレントを使ったCMで猛アピールしています。しかもこの新社名は、同社がグローバルに展開する企業ブランド名として世界中で使われてきたものなのです。単なる社名変更だけではなく、これを機に社のイメージのグローバル化を推進しようという目論見が込められているからこそ関係者一同納得ずくで宣伝にお金をかけたのでしょう。

村田製作所の場合は、特にリクルーティングを重視してCMを投下しているそうで、学生が「就職先の企業を意識する時期」の年末年始に集中してCMを流しているとのこと。さらに、社名に“製作所”とついているため「町工場」だと勘違いされないように従業員も帰省で家族とテレビを囲む時間が増える年末年始にCMを増やしているということです。社員の気持ちをよく理解した経営戦略に紐づいた宣伝活動だと言えるでしょう。

2. BtoB企業の広報・PR戦略、手法

BtoB企業の広報・PRは経営戦略に紐づいたものであるべきですが、具体的な戦略や手法に関する考え方の基本はBtoC企業と変わりません。
ステップを踏んで、広報・PRの戦略や手法を見ていきます。

1)広報・PRの目的を明確にする
売上向上や営業支援のために認知度を上げたいのか、採用を有利に進めたいのか、海外拠点強化のためのグローバル化のためか、社員の士気を高めたい等、目的を明確にします。
また、オプションとしてBtoB企業では予期せぬ危機管理対策としての広報・PRも日常的に対応トレーニングを欠かさないようにしましょう。

2)広報・PRの対象者や地域を設定する
1)で設定した広報・PRの目的に沿って重点を置くターゲット層や地域を定めます。売上向上を主眼とするなら現在後れをとっている商圏を重視するのか、定着した商圏を充実させるのかを考慮します。ターゲット(対象者)は取引先候補、採用目的の広報・PRであれば学生や期待する年齢層、さらに通勤可能な地域在住者といったように絞り込んでいきます。

3)広報・PR活動の時期を設定する
売上向上等営業面に反映させたい広報・PRであれば新製品発売のタイミングか、売上が落ち込む時期か等に合わせて活動の時期を設定します。採用目的ならば学生が志望先を意識し始める時期を中心に活動予定を立てるとよいでしょう。

4)手法を検討する
1)~3)が決まったら、次は手法を考えます。目的別にどのような手法があるのか整理してみます。

◆認知度向上のために
・企業(または社長等の経営陣)紹介シートの作成
・メディアが報道したくなるような企画書の作成
(プレスリリース的な内容ではないことがポイント。導入事例や自社が置かれた市場のトピックスを横断的な視点でまとめる等)
・自慢できる社内の取り組みを整理した報道ファイルの作成 (教育制度、福利厚生、採用、行事等)
・企業あるいは経営陣等が市場をリードする専門家だと位置づけられるような連載
・社長や看板社員の取材獲得
・調査PR(事業内容に関連した調査で得た数値をニュースネタとして利用)
・書籍出版

BtoBの場合、事業内容、商材の内容がわかりづらい場合が少なくありません。プロ同士の取引だとしても、質の判断を下しにくいことも多いでしょう。ひたすら社名を覚えてもらって営業活動に優位性をもたせたいのか、自社のよさをじっくりと理解してもらいたいのかによって手法を検討します。

◆採用(リクルーティング)のために
採用サイトの充実
学生の読者が多い媒体(Webや雑誌等)で社風が伝わるような連載
新人入社後の生活がわかるような動画作成
学生課向け企業紹介冊子の作成

どのようなメディアに取り上げられることが取引先拡大、売上増に結び付くのかを考え、「ターゲットメディアに好かれる、ニュースになるストーリー」を仕立て、企業のブランド力向上に貢献します。

◆グローバル化促進のために
英語サイトの充実
海外通信社向けにプレスリリースを出す
英語版会社案内の制作
社名あるいは、海外対応部署の英語版名称(愛称)を検討

◆社員の士気向上のために
社内報(Webでも紙でも可)発行
社内イベント開催(ZOOM等のオンラインも可)
社内コンペ開催(社是の募集、写真コンテスト、部署ポスター作り等)
経営者と一般社員、異なる部署の交流の場の設定(ZOOM等のオンラインも可)
著名人を採用したイベント開催、CM投下等B2B企業のイメージを脱却するようなコンシュマー向け広報・PRの展開

◆危機管理のために
不祥事や事件発生時に備えた説明会見の訓練
詫び状の事前準備
釈明文をまとめたプレスリリースの用意と対象メディアリストの作成
問題発生時の情報伝達系統を事前に設定し、関係者の発言を統一化

BtoB企業は、信頼関係で事業が成り立っていると言っても過言ではありません。商材に不備が発生したり、工場で事故があるとそのまま業績に響きます。危機管理広報は、いつでも対応できるように日頃から準備がたいせつです。

3. BtoB企業の広報・PRのポイント

最後に、BtoB企業の広報・PRのポイントをまとめておきます。

1)広報・PRの対象は少しずつ拡げていく
商圏が限定されていますから、最初に狙うべきターゲットは身近な業界、関係者に絞って展開します。

まずは業界誌や特定市場向けWeb媒体を狙い、そこで「知らない人はいない」というほどの認知を得たら、自社の技術や人物、背景エピソードなどを素材にテレビや新聞へアプローチしていくといったように訴求先を拡大していきます。

2)人物PRは基本中の基本
BtoB企業は広報・PRしようにも、商材にかたちがなくメディアに提供できる写真がないという声もよく聞きます。それなら、企業のトップやメイン商材の責任者が広告塔になって、積極的に取材に応じればいいのです。秀逸なソフトウェア誕生秘話、事業急成長のコツ、人材育成で大事にしていること等、メディアに合わせてさまざまな視点で話題を提供することができます。

3)季節感、社会性に常時注目して話題を提供する
季節感や社会性に応じて話題を提供することは、業種を問わず広報・PRの基本ではありますが、BtoB企業の場合「工業用の部品などが商材なので、その手の話題に乏しい」とお嘆きの方もいらっしゃると思います。

しかし、商材の納品先が巡り巡って季節感や社会性のある何かに辿り着くのであれば、部品ひとつからでもストーリーは展開します。商材に直結しなくとも社屋のそばの桜の木が美しいだとか、毎年行う定例行事でもよいですし、季節感のあるニュースになるような話題をつくってしまうことさえできます。ネタの掘り起こしは、工夫次第です。

4)デジタルメディアを活用する
Web、メール、オンラインセミナー、バーチャル展示会などのデジタル技術を活用したBtoBマーケティングやBtoB営業施策がここ数年話題です。デジタルメディアを活用すれば、メール等のアカウントによって広報・PRの対象となる人々をグループ化でき、営業、調査をはじめ、どんどんメッセージの輪が広がります。

以上のようにBtoB企業も広報・PRを積極的に実践して、事業の拡大にお役立てください。

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