数百万規模の人々に情報をリーチできるテレビ(視聴率1%=100万人)へのアプローチに必要な企画書の書き方について、前回は基本的な項目の洗い出し方をご紹介しました。さらにもう一歩踏み込みます。基礎編で洗い出した内容を前提に、今度は企画書の通過率を高めるために、次のような項目を書き出してみましょう。
①解説できる専門家は誰か?
広告ではなくテレビ番組の企画書ですから、その筋書きは偏りがなく、公平性のあるものでなければなりません。客観性を裏付けるためには「強み」や「現象」を語ることができ、しかも映像受けする第三者、つまり専門家の声を借りることが王道です。できればメディア出演歴が豊富で、親和性があり、取材に協力的な人物を取材先として列記したいところです。
②番組として取り上げるべき理由は何か?
まさにその日その時を報道できるところがテレビの強み。それを踏まえ、商材とそれにまつわる企画を「なぜ“今”取り上げる価値があるのか?」を、企画書にしっかり明記したいもの。商材が不眠解消グッズであれば、「“今”、不眠に悩む人が増えている」という社会現象が進行している事実をデータや識者の声で裏付け、その防備策として企画をまとめるという具合です。通り一遍な防備策ではなく、ひとひねりしたいところです。意外性があったり、“今”だからこそ起きている不眠現象や対策術、しかもまだそれほど顕在化していない現象や方策を調べられれば、あとはデータや識者により裏付けをとり、説得力のある企画書としてまとめればよいのです。
③視聴者からのクレーム回避にまで配慮できるか?
さて最後に、番組担当者が恐れる「視聴者からのクレーム対策」に次善の策を講じておきます。
再三述べてきたように、テレビは公共性、公平性を重んじるメディアです。特定商材の宣伝と誤解されるような番組は、視聴者、そしてスポンサー筋からのクレームが入る危険性をはらみます。これを避けるために、第三者(識者等)の声やデータで客観性を出します。たとえば、PR商材を前面に押し出すような企画書ではなく、あくまでもデータや専門家の言葉を借りて何らかの不安を煽り、その解消法として商材やその周辺の取り組みを紹介するというストーリーでまとめれば、宣伝臭さが消えた社会性のある筋書きになります。
さらに、企画の柱として立てる「仮説」に対して、「この商品がお奨めです、効果的です」を結論としたストーリーでまとめる場合、番組側は、「購入したけれど、効果がなかった」等の放送後の視聴者からのクレームリスクに敏感だったりします。そのため、仮説のキーワードをオブラートに包むような表現にするといったテクニックも覚えておきたいもの。たとえば、「隠れ●●」「●●一歩手前」「●●予備軍」。これらは視聴者が“自分ゴト化”しやすい便利な言葉です。
企画書が反映された番組は、ストーリーに沿って紹介される商品を購入する、もしくはプログラムを試してみる、といった行動へと視聴者を誘うことでしょう。しかし、「番組で紹介されたような効果がない」というクレームに発展する可能性もはらんでいます。それが、商材の紹介に断定感を薄めたワードを使用していれば、番組側はクレームに対して言い訳ができるのです。こうしたワードを企画書に盛り込んでおくと、企画会議を通過する確率が一段と上がります。
二回にわたり、テレビPR用企画書の書き方についてふれてきました。テレビはハードルが高いと臆さず、ぜひ頑張って企画書に取り掛かりましょう。