テレビ局の現場が大混乱……といえば、予定していた番組がOA直前に放送できなくなる時!
これが、情報番組のコーナーなどでは意外によくある話なのです。取材先の事情でレポートシーンが撮影できなくなった、出演者が急病や事故で対応不可能になる等々、理由はさまざま。しかも、代替え映像を用意できないとなると、担当者の責任問題になりかねません。
そんな時に「話題性があり、取材先、価値を裏付けられる識者など」のコーナーづくりに必要な要素を完備した企画書があれば、飛びついてもらえる可能性は限りなく高くなります。
■「非常時に備えたテレビ企画書」の心得
チャンスがいつやってくるかはわかりません。しかも、突然チャンスに遭遇した時は、相手(テレビ担当者)は時間的にも精神的にも余裕がないのです。
それだけに、非常時に備えたテレビ企画書には、注意しておくべき要素がいくつかあります。
・企画書の内容のすべてが、いつでも即座に番組制作に100%対応可能な状態として提案する
今すぐに対応したいからこそ、採用するという企画書なのです。取材先の駐車場の手配まで頭に入れて、提案してください。
・いつでも対応できるように、企画書は定期的に更新して番組担当者にわたす
何時訪れるかわからないチャンスに備え企画書を用意しますが、季節要因なども考慮して3か月に一度程度、
内容を更新して担当者にわたしましょう。
余裕がないときこそ「これからはお任せください」と胸を張れるように備えていれば、憂いなしです。
■緊急時対応用 完パケ企画書
こうした“完パケ企画書”を、私たちも採用してもらったことが何度かあります。
ある健康食材を商材としてまとめた企画書が採用されたときの顛末を簡単にご紹介します。
1) 商材である健康食材について、期待できる健康効果を裏付けデータとともに提示
2) 売上推移も一覧にし、時流に応じて人気に火が点いてきている事実を明確にした
3) 一定期間対象食材を摂取して体調が改善できた人へのインタビューを用意
4) 花粉やインフルエンザ、気温などによって季節別の症状に対応した効能がある事実情報と、
それに関する専門家の解説が可能なことも明記
5) 医学的な見地からも効能に説得力があり、テレビで放映するにも薬事法等で問題がないことも証明
6) 商材担当者や専門家には、急遽取材となった場合でも、時間が許す限り対応してもらえるように取り決めをしておいた。
可能であれば必要なVTRを用意しておいたり、随時電話取材に応じられる担当者の配備まで含めて
万全の準備をしておけるよう打ち合わせ済みで臨んだ
7) 最初の企画書を提出後、テレビ局へ用事がある際に「ついでに寄りました」を装っては、
内容を更新して担当者に挨拶がてらわたす……を繰り返す
このほか、緊急OAが決定した際の連絡手順なども顧客としっかり相談したうえで、企画書はテレビ担当者にわたしておきました。企画書提出からそれなりに時間はかかりましたが、めでたく夕方の情報番組で商材を20分程度の尺で放映してもらうことができました。
この方法は、紙媒体でも応用が利きます。新聞や雑誌の編集部では、締切ぎりぎりまで記事制作に励みますが、それでもライターや作家の方々が約束の期日を守れず冷や汗を流すことはけっこうあると聞きます。
“緊急時対応完パケ企画書”にひとつだけリスクを挙げるとすれば、「企画はテレビ局や編集部が考えるもの」という考え方が頑なな担当者に突っぱねられる可能性があることです。
それでも、取材時の駐車場のことまで考慮し、時間を問わず対応できるように準備された企画書から熱意は伝わるはずです。企画書が捨てられることは、まずありません。“売り込み”にアレルギー反応を起こす担当者がいたとしても気にせず提案し続けたほうが、頼りにしてくれるスタッフが増えると確信します。