「プレスリリースを出しても反響がない」というお悩みを、広報担当者からよく聞きます。
しかも、拝見してみるとプレスリリースの基本的な要素は満たされていて、特に落ち度があるようには感じられないケースがほとんどです。
ここで「商材に魅力がないんだ」と諦めないでください。
プレスリリースについてさまざまな角度から考えてみましょう。書き方について紐解いた書籍はあまたありますが、PRの参考書ばかりではなく、少し視点を変えて書店の棚やamazonを眺めるのも一興です。
約7年前に発売されてから、ロングセラー本として誰もが知っている『伝え方が9割』(佐々木圭一著 ダイヤモンド社刊)。この書籍、実はプレスリリースの書き方に多くのヒントを得ることができます。まとめられている法則を参考にしてみたところ、メディアの方々からの反響が面白いように高まっていったのです。
同書には、人にものを伝えるさまざまなテクニックがまとめられています。その中のひとつ「ギャップ法」を使って成果を上げたプレスリリースの例を示して、「読み手の印象を大きく変える伝え方」をご紹介してみます。
【サブタイトル例】
中小企業の“採用難”、もう一つの隠れた課題は採用後の“人材定着”
これは、中小企業の採用支援と人材教育を提供している会社が配信したプレスリリースの見出しに付けたサブタイトルです(メインの見出しは簡潔に「採用した若手を定着させる『上司力』研修をスタート」)。
NHKのニュース番組や新聞の取材誘致に成功しました。
プレスリリースの目的は、同社の顧客数拡大です。ターゲットである人事担当者は「採用難」「いい人がいない」で頭がいっぱいです。そこへ“採用難”に加えて、入社後の“人材定着”にも言及します。「採用活動だけでなく、その先も見据えて行動しましょう」と問題提起したことで、「なるほど」と頷かせたわけです。
本当に伝えたいことだけではなく、少し視点を変えたアプローチで同業他社と差別化し、相手を引き込み、共感を得た例です。
【サブタイトル例】
「理系学生」の採用ニーズが高まる一方、中小企業と理系学生の間にミスマッチも~現4年生の理系学生は、就活難!?
こちらは最初のケースで紹介したお客様が「理系4年生と企業の学内選考会を開催」をアピールする意図で配信したプレスリリースで使ったものです。
ワールドビジネスサテライトで取り上げられたほか、さまざまな媒体から取材を受けています。
配信当時は社会的には理系学生の就職は有利というイメージのご時勢でありながら、あえて「理系学生は、就活難?」と問いかけました。
一般常識とは逆の理屈で問題提起したことで、メディアの皆さんは「お!? 何だ? それはどういうことだ」と興味を抱いてくださいました。当たり前だと思われていることと正反対の表現で、まずは注意を惹く……プレスリリースの手法としてはとても有効です。人間は想像していたこととギャップのある現象に感動し、頭に焼き付けるのです。
このほかにも、『伝え方が9割』には数々の「伝え方テクニック」が記されており、同書は2013年に出版されて以来約7年間で150万部に迫るベストセラーとなっています。
上記の例に登場したギャップ法のほか、
・「あ、」「そうだ!」「やっぱり!」等の感嘆詞的な言葉を伝えたいことの前に入れる、サプライズ法
・「泣けてくる」「体が震える」等、想いが伝わると自然と反応する体の変化を表現する言葉を伝えたい内容に沿える、赤裸裸法
・伝えたいことを端的に表す言葉を何度か繰り返して人の記憶に刷り込む、リピート法
・「これだけは知るべき」「ほかでは教えませんが」など、伝えたいことを最後まで読んでもらう為の注意惹きワードを要所要所に盛り込む、クライマックス法
といった極意が同書には並んでいます。
なお、プレスリリースをワンランク上げたい企業の皆様には、プレスリリース制作を含めたPR戦略を私たちにお任せいただくこともお薦めです。