自社に合ったPR会社を選定するにはどうしたらよいのでしょうか?
よく言われているのは、以下のような質問をPR会社に投げかけてみることです。
・自社の業種を得意分野としているかどうか
・PR会社の規模の大小
・自社が求めているPR手法(プレスリリース配信、媒体アプローチ、発表会運営、広報物制作等)の実績
■それでも残る、PR会社への不満を解消するには……
ところが、こうした項目は十分見極めたうえでの契約にも関わらず、「自社の話題が記事になるようにはなったが、想定していた媒体ではなかった」「依頼以上のことはしてくれない」といった不満をよく耳にします。PRの成果が出ていない場合は論外ですが、露出が増え、イベント等も滞りなく運営されていても、どうも満足できないことが多いと……。
PR会社の得意分野が自社のニーズと合っているかどうか確認することは大切です。でも、PR会社の大小やPR手法の実績は選定基準としてあまりあてになりません。規模が大きければ取引先数も多いため、必ずしもきめ細かく丁寧に担当してくれるとは限りませんし、PR手法が派手であったり大規模であることよりも、実施後の効果がどうだったかのほうが重要だからです。
とはいえ、成果の質に関してはどれだけの量の媒体に扱われたか以上のことは、把握しづらいもの。PRに期待する効果は、各社各様なのですから。
そこでPR会社との相性を測る質問事項に、「どのような取引形態を重視しているPR会社なのか」を追加してみましょう。PR会社の契約は、単発で業務を請け負う「スポット型」と毎月一定の固定費用で年間契約する「リテーナー型」の二種に大きく分けられます。
前者「スポット型」は企業の周年行事や新製品のキャンペーンを単発で契約するPR。後者は最低一年以上の契約で、取引先の長期ビジョンに沿って総合的にPRに関わっていく形式です。
「スポット型」契約は、契約期間内にPR対象をいかに露出(メディア掲載)させ、イベントであれば大量の集客を獲得するかという“数的成果”を重視したPR活動となりがちです。「リテーナー型」は、一過性の露出よりも継続性があり、企業が期待する効果を生み出すためのPR活動を循環させていく方向で動くのが一般的です。
広報部員の人材不足を補填するだけのためのリテーナー契約でない限り、取引先に話題があろうとなかろうと、日常的に広報素材となる切り口やストーリーを設計していかなければリテーナー契約は成立し得ません。
極論すると、「ネタのある時にどれだけ露出数を稼ぐかがスポット契約」で「ネタが少なくても地道に露出させられるかがリテーナー契約」だとも言えます。
■スポット型かリテーナー型か?
では、貴社にはどちらの契約形態を重視した、あるいは得意なPR会社が向いているでしょうか?
規模が大きく、すでに高い認知を獲得済みで、定期的な広告出稿もある企業ならば、代理店とのお付き合いからテレビ局や新聞・雑誌等との日常的なリレーションは形成できているため、“ここぞという時だけ”のスポット契約でよいでしょう。
広告代理店との付き合いがあるわけでもなく、PRや宣伝には比較的初心者という企業には、予算等の関係で「契約は短期から」が前提でも、「リテーナー型」を得意とする企業を検討してみることをお勧めします。そして、過去の実績事例ひとつについて「なぜ、その切り口やストーリーに至ったのか」までを詳しく聞いてみましょう。掲載媒体の大小や発表会の動員数よりも、実施したPR活動の背景や経緯、その結果が及ぼした効果がどういうものだったかをヒアリングすることで、PR会社の真の横顔が見えてくるからです。
次回PR会社を検討する際には、得意な契約形態と、活動実績の内容をじっくり聞いてみると、今まで見えなかった何かが見えてくるはずです。
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