広報戦略策定には、自社の状況を分析する必要があります。
分析に役立つフレームワーク(思考の枠組み)がいくつかありますので、以下ご紹介します。
過去の成功事例を体系化し、考え方の枠組み・パターンを抽出したものをフレームワークといい、効率よく意思決定や分析、アイデア共有等を行いたい時に役立ちます。思考や意思決定のスピードが加速され、生産性の向上にもつながります。
フレームワークは数々あり、いずれも長い歴史とともに培われ、ブラッシュアップされてきました。業界や案件によって活用すべきフレームワークは異なります。まず対面しているシーンに適切なものを選択することがたいせつです。
そして利用時には、フレームワークは案件ごとに柔軟な姿勢で向き合うことも忘れないでください。フレームワークでチェックすべき項目をすべて均等にとらえるべきなのかを検討する等、「何を導き出したいのか」を念頭に入れて、メリハリの効いた使い方をすることが重要です。
適切なフレームワークに沿って分析を行えば、自社に最適な広報戦略を論理的に導き出すことができるはずです。
では、このあと広報戦略策定に便利なフレームワークを紹介していきますが、弊社でよく利用するのは冒頭の
「3C+M(メディア)分析」です。広報戦略策定時に最も必要な要素をギュっと圧縮したような、理解しやすいフレームワークだと思います。特にメディア分析は必須でしょう。
広報戦略策定に、最もシンプルで効果的なフレームワークです。
3C分析はマーケティングの環境分析手法のひとつで、企業が市場で優位に立てる競争力を構築し、戦略的な成果を上げるために必要です。
主に顧客、企業自体、競合他社の三つの要素に焦点を当て、それぞれの相互関係を整理することで、効果的な戦略の策定に役立てます。
これにメディア(報道)分析の結果を連動させて広報戦略を策定します。
【3C分析】
顧客分析(Customer Analysis):
商品やサービスに対する社会のニーズや動機を分析します。消費者と強固な関係を構築する糸口が見えてきます。
企業分析(Company Analysis):
自社の強みや独自性を見出し、市場での差別化ポイントを洗い出します。独自性が形成されたストーリーまで確立できれば、ブランドイメージ向上につながります。
競合他社分析(Competitor Analysis):
競合他社の戦略や市場動向を把握することで、自社の強み/弱み、シェアの大小を理解します。競争優位性を獲得するための効果的な戦略策定に必須の分析です。
上記3つの分析は密接に関係しており、相互に影響しあい、企業の経営環境を左右します。
メディア分析(Media Analysis):
自社および競合他社の、新聞や雑誌、Webニュースなどのメディアで報道された記事の件数や、その内容を記事傾向や論調まで定常的に調べて、傾向を分析します
以上のように、3C分析で企業が市場でどのようなポジションに置かれているのかを客観視し、そのうえでメディアでの露出傾向を把握して、効果的な広報戦略を策定します。
自社をとりまく内部環境と外部環境において、どのような状況なのかを分析します。
既存事業の改善点や伸ばすべきポイント、新規事業の将来的なリスクなどを洗い出すことができます。
強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)の4つの視点から、内部・外部環境のそれぞれで、プラスの要素とマイナスの要素を書き出していきます。
ここでいう内部環境とは、自社でコントロールできる人材や品質や価格や社屋の立地といった要素を指します。外部環境とは自社では変更することができない、景気動向や法改正、気象状況などの要素を指します。
なお、SWOT分析を行っただけでは現状の把握までしか終わっていません。
改善点や伸ばすべきポイント、そして将来的に孕むリスクを発見できたら、強みを活かし、弱みを克服して機会や脅威に立ち向かえる広報活動ができるのか考えて、戦略を立てていきます。
自社が外部環境の変化によって、現在から将来、どのような影響を被るかを把握・予測するためのフレームワークです。
世の中の流れやトレンドを味方につけて、外部環境の変化に合わせた経営戦略と広報戦略を策定していきます。
分析の要素は以下の4つです。
政治(Politics):政府の動向、法律改正等
経済(Economy):景気、為替、金利等
社会(Society):流行、世論、環境問題等
技術(Technology):技術革新、特許等
3C +メディア分析、SWOT分析、PEST分析等で明確になった企業や商品・サービスの置かれた状況を踏まえて、4P分析で具体的な施策を検討します。
何を(Product)、いくらで(Price)、どこで流通させ(Place)、どのようにして販促するか(Promotion)を視点に、分析し、具体的な広報施策に落とし込みます。
3C分析、SWOT分析、PEST分析は現状把握のためのフレームワークですから、それらで得た結果を、4P分析などの企業目線のフレームワークを用いて、利益や市場占有率といった目標値にたどり着ける方法(戦略)を考えます。
なお、冒頭に紹介した「3C+メディア分析」は、自社と競合がどのような状況に置かれているのか、そしてそれらがどのように報道されているかを分析しますから、得た結果を掛け合わせて考えれば、どのように広報活動を行えば情報発信での差別化ができるか、通期一貫で戦略策定まで行うことができます。