3.準備~当日までの流れ
発表する目的に沿って、どのような企画・構成とするのかが決まったら、実行に向けた準備に入ります。
大まかに見積もって、以下のような準備が必要です。
1)発表会の大まかな企画・構成案の説明書の作成と関係者への配布。
2)当日までの流れとして、2か月前にはスケジュール表を確定し、関係者に配布。
3)開催日時、会場、登壇者等発表会の企画内容を決定。
4)運営マニュアルの作成。
5)メディア招致用のリスト作成と、案内状作成・配信。
6)メディアリレーション(取材誘致活動)。
7)発表会当日配布物、プレゼン用制作物(資料、当日配布プレスリリース、司会および登壇者台本の作成、質疑応答用仮想原稿等)の用意。
8)会場設営(メディア用座席、マイク等の備品用意ほか)、登壇者や関係者控室の用意。
9)リハーサル。
10)発表会開催後の問い合わせ対応準備。
上記について少し補足しておきます。
1)発表会の大まかな企画・構成案の説明書の作成と関係者への配布。
記者発表会の開催が決定したら、その目的や大まかな企画・日程等を明記したものを関係者全員で共有します。
2)当日までの流れとして、2か月前にはスケジュール表を確定し、関係者に配布。
スケジュール表作成は未定箇所があっても2か月前には着手し、随時更新して最新情報を関係者で共有していくようにします。
3)開催日時、会場、登壇者等発表会の企画内容を決定。
開催日時等はもちろんスケジュール表に組み込み、関係者に周知してもらいます。
発表会の日時はメディアも大半は会社員ですから、土日は避けたほうが無難です。
金曜開催も露出が金曜夕方以降になるため、掲載メディアが閲覧されるのは土日になってしまいます。週末は情報番組も少なく、自宅購読が減っている新聞を読んでもらうチャンスも減るので、好適とは言えません。
時間的には夕方のニュースや翌日の朝刊狙いであれば、11時スタートが一般的です。
メディアが動きやすい時間としては平日の午後だとよく言われますが、この場合は新聞なら翌日朝刊、Webでは当日夕方配信になります。
会場は、かつてはシティホテルのパーティ会場が好まれましたが、立地のよくないところも少なくなく、昨今では駅に近いイベント専用ホールの需要が高まっています。
4)運営マニュアルの作成。
運営マニュアルとは、開催する記者発表会の全貌を全関係者が共有するために必要な「手びき」です。発表会の全体像を全員が把握できるようにすることと、役割別担当者(連絡先も)や日程、会場の図面等を明記して分担作業がスムーズに進行できるようにするためのものです。
ここに全体の流れを整理し、発表会が終了するまでに必要なことを網羅して、漏れなく準備できるかを確認していきます。
外部からゲストを呼ぶことが決まった場合は担当を配置するだけではなく、専用の控室の用意、場合によっては駐車場の用意、そして時間次第では必要数の食事の手配をどうするかまでマニュアルに明記しておきます。
運営マニュアルの作成によって、当該の発表会がスムーズに進行するだけでなく、発表会ごとの運営マニュアルを保存することでノウハウが蓄積できます。
5)メディア招致用のリスト作成と、案内状作成・配信。
メディア招致用のリスト作成は、日頃利用しているメディアリストの用意がある場合を除き、発表会の内容次第では企業の広報担当者だけでは手に負えないこともあります。
メディアの人事異動もありますから、PR会社の手を借りたほうが合理的です。
案内状の内容は、以下のような項目が必要です。
開催日時・場所/受付開始の時間
会見の趣旨・概要(登壇者やゲスト一覧)
出欠確認欄/出欠の締め切り日時
窓口担当者の連絡先
見やすさ、事実誤認がないかの校正。そしてもちろん誤字脱字等の間違いがないも確認します。
案内状の配信方法は、メールまたはFAXが基本ですが、メディアによっては受付方法を限定している場合もあります。メディアごとに適した方法を選択して送ります。
案内状の配信自体は、3週間前には完了しておきます。
6)メディアリレーション(取材誘致活動)。
ターゲットメディアに取材誘致活動を行います。
5)の案内状の配信が終わったら、待つだけではなく、「届きましたでしょうか? ご都合はいかがでしょうか」と体よく催促をかけます。
これは電話で行います。
特に「必ず露出してもらいたいメディア」には迷惑にならないように電話の時間に気を付けながら、根気よくアプローチします。
参加メディアの目標数を決め、そこに到達するまでは案内状の返信締め切り日が過ぎても「お願いの電話」を諦めないでください。
7)発表会当日配布物、プレゼン用制作物(資料、当日配布プレスリリース、司会および登壇者台本の作成、質疑応答用仮想原稿等)の用意。
配布物等は見やすさに気を配り、念入りに校正します。
発表会当日用進行台本に関しては、最も気を配るべきはタイムスケジュールです。スピーチや移動に無理のない時間配分がされているかどうか、検討を重ねて最終稿とします。
質疑応答用の「想定問答集」の用意もあると安心です。
また、プレスリリースの自社サイトへの掲載は、情報解禁日時にあわせて、フライングしないように気をつけます。
プレスリリースはメディアリストの宛先に加えて記者クラブへも配信します。ただ、記者クラブは一般のメディアと異なり、それぞれ独特のルールがあり、どのような形式で届ければよいのか事前に確認しておきます。
8)会場設営(メディア用座席、マイク等の備品用意ほか)、登壇者や関係者控室の用意。
会場設営は外部のホール等を会場とするなら、メディア用の椅子、受付用の机、プレゼンテーション用のマイク・プロジェクター・スクリーンをはじめとする機材を会場で揃えてもらえるかどうかの確認、電源の確保が万全かどうか、照明の調整などが必要です。
9)リハーサル。
リハーサルは、出席者全員が参加できなくとも、時間配分を見る意味でも行ったほうが安心です。
実際に本番で利用する会場で、メディア席からプロジェクターの画面が見やすいか、音声は聞き取りやすいかのテストが事前にできるといいのですが、無理な場合は当日早めに現地で試してみるとよいでしょう。
10)発表会開催後の問い合わせ対応準備。
記者発表会終了後から数日間、発表内容に関する問い合わせが電話やメールで届きます。これを的確に丁寧に対応できるかどうかが、露出の成否につながります。誰が電話をとっても返事ができるように準備しておきましょう。
問い合わせに関しては、どこのメディアからどのような内容で連絡が来たのか記録をつけておいて、内容次第では後日記事の企画を持ち込む材料とします。