大阪万博に学ぶ、長期ビッグイベントの運営 2025/05/20
大阪万博が開幕して1か月経ちました。
当初、パビリオン建設の遅延やチケット入手方法の周知がゆきとどかなかったことなどからネガティブな評価が多かったものの、博覧会協会https://www.expo2025.or.jp/によれば来場者数は確実に増えているとのことです。開幕から31日目となる5月13日の累計来場者数は関係者を含めると325万3884人(一般の来場者数は、271万5049人)といったプレス向け発表がありました。
協会の公式サイトでは数日遅れながら来場者数の推移を公表しており、誰でも確認することができます。
https://www.expo2025.or.jp/news/news-20250519-01/
とはいえ、協会が想定する来場者数は会期中に2820万人とされており、この人数に達するには1日平均で約15万人が必要です。しかし、ゴールデンウィーク中も含め、1日の来場者数が15万人に達した日はまだありません。
逆に今後どのように巻き返すのか、話題を集めるコンテンツが出てくるのか、 楽しみでもあります。
●万博で長期にわたるビッグイベントの運営について学ぶ
さて、この万博はPRに携わる者にとってはイベント運営を学ぶうえで絶好の機会です。
日々新聞やWebをウォッチして、露出数や来場者数の増減を見定めていくと、何が正解で何がまずいかが見えてくるからです。
改めて、長期にわたるイベント成功のための基本事項を見ていきましょう。これらと大阪万博の動向を照らし合わせて見ていくと、いろいろなことがわかります。
・イベント集客の対象者とニーズを明確にする
集客対象者は万博の場合は、国内外を問わず万人向けのイベントだと言えます。
ニーズに関しては「未来社会」「世界の現状」を見られる場であることではないでしょうか。
ただ、現状ではテーマに掲げられている「いのち輝く未来社会のデザイン」は、漠然としたレベルでしか伝わっていないように感じます。
SNSやLINEを利用した訴求も、現状ではかなり控えめな印象です。
・イベントの目的に応じた企画を考える
さすがに企画は、世界中からの参加があり、それぞれの国の個性を押し出したパビリオンで万博らしい基本的な要素は兼ね備えた内容となっています。
ナショナルデーと銘打ち、参加する各国が日替わりで自国の文化を紹介する各国各様のエキシビションも開催されています。
企画に関しては、それぞれのコンテンツをよく見て、どのように各国の個性をアピールしているのか等を知る好機として、楽しみながら多くを学べると思います。
・トピックスとなるようなイベントの情報を適宜発信する
長期にわたるイベントの場合、新しい催しやコンテンツの情報は随時情報を発信していくべきです。
また来場者数の動きや会場内のサービスの向上などについても日々更新して、欲を言えば天候の良し悪し、特別なイベントや来賓の有無の影響等も付記すると露出度も高まるでしょう。
こうした情報発信が、イベント自体が「動いている」証になり、注目を集めるからです。
今回の万博の場合は、協会の公式サイトを見てもどこに新しい情報があるのかわかりづらい印象は否めません。
各国のパビリオンの動向を集約的に参照するのは、容易ではありません。
このあたりが改善されると、現地に行けていない人も含め、SNS等で万博がさらに注目される可能性が高まると考えられます。
現状、入場券販売や会場内の導線誘導等の改善を真摯に行っている等は発表があり、今後より足を運びたくなる要素が増える気配をすでに感じます。
協会の公式SNSやLINEなどのフォローをもっと推奨し、重要な情報はすでに発信ずみでもダイレクトメッセージやメール等でもリマインド的に何度か配信することも効果的ではないでしょうか。
・来場へのハードルを下げる
入場券の入手方法や会場への経路がわかりづらいと話題になりましたが、否定的な内容であれ、話題になっただけ「弁明の機会」も増えました。これは今後改善されていくでしょう。上の項でも触れたように改善は進んでおり、そうした対策によって来場者数がどのように推移するのか興味をひかれるところです。
・連載や定期的な特集仕様の露出
開催期間が長い場合、ターゲットに常時興味を抱いてもらう必要があります。
未訪の人だけでなく、すでに訪問した人もインフルエンサー的役割を担ってもらえるように、定期的にイベントの模様を提供すべきです。
そもそも足を運んだ人ほどその後のイベントの動向が気になるものです。
今回の万博に関しては、新聞や雑誌、Webのポータルサイト等で「毎日ここを見れば万博の様子がわかる」コーナーがあまり見受けられません。
「ニュース」というレベルでは各メディアで毎日のように万博を扱っています。ただ、断続的で「明日は何が起きるんだろう」という期待感を高めるような連載も、盛り上げ要素としては必要だと考えます。
以上のような観点から大阪万博を見守っていくと、今後のPR活動の参考になると思うので、ぜひウォッチし続けてください。
なお、蛇足ですが、自社でこの大阪万博に乗じたキャンペーンを張るにあたり、協賛せずにどこまで許されるかというと、「万博」という単語を使う分には商標権の侵害にはなりません。ただその際に「大阪万博」だとかそれを連想させるような、たとえばロゴやイメージキャラクターを模写した画像を添えるなどすると、問題が生じます。
大阪万博ほどではないにせよ、長期にわたるイベントを計画されている方やそうした案件の運営にお悩みをお持ちであれば、当社の知見を活かして、積極的に相談に乗らせていいただきたいと思っています。お気軽にお問合せください。
長期イベントの事例
https://mops-pr.net/work/hanryu/