『半沢直樹』をPR的視点で楽しみましょう 2020/08/03
平均視聴率22%超というお化け連続ドラマ『半沢直樹』。
この番組が人気を博す理由は、原作の秀逸性、俳優陣の大げさなセリフまわしに身振り手振り、人気俳優総ざらえ的豪華キャスティング等々と、数々あるようです。
人気の理由は多ければ多いほどよいのです。なぜならば、さまざまな角度からドラマについて語り合えるため、視聴者の層が広がり、話題も進化していき、「それじゃ私も見なくては」という現象がトグル化するからです。
それでは、PRの視点から『半沢直樹』を楽しんでみましょう。
まず、かなり多くのロケ地が使われています。番組のエンドロールで「撮影協力」として明記されている場所もありますが、どのシーンがどこなのかはわかりません。ロケ地のさや当ても視聴者の楽しみになっているようですし、撮影場所として露出できればPR的効果も大きいでしょう。ロケ地の協力をした一部の企業は、早々にプレスリリースを出しています。
メインの銀行に実在するメガバンクの歴史ある建物が使われていることは、周知の事実ですが、現在放送分に初登場している企業の撮影場所がどこなのかでランチタイムが盛り上がっているとか。
ロケ地の協力は、ドラマのイメージに大きく影響しますので簡単に売り込むことはできませんが、今後も必ず放送が見込まれる人気作品、あくまでも例ですが『相棒』などの制作陣に「こんな収録ができますので、ぜひ覚えておいてください!」と売り込んでおくのも無駄ではないかもしれません。
なお、『半沢直樹』のロケ地については、公式な発表はありませんがネットの番組別ロケ地情報サイトでおおよその情報はわかると聞いています。
次に、『半沢直樹』は前シリーズで役者が持っているスマートフォンや携帯電話の機種で悪役か味方役か判別できる……という噂が流れるなど、劇中に登場する小物にも視線が注がれています。プロダクトプレースメントの範疇となると、番組スポンサーの絡みもついてまわりますから、自社製品を人気ドラマで使ってもらうことは一筋縄ではいかないでしょうが、各シーンで役者が着ているスーツのブランドや時計の銘柄など、細かい部分に目を向けることもPRパーソンとして無駄ではないでしょう。
そして、『半沢直樹』は「つっこみどころが多くて、話題に上りやすい」とも言われています。フィクションなので、時代考証や法的なリアリティを求める必要はないドラマだというのに、ついつい視聴者は感情移入してしまい「今の時代、あのやりとりはパワハラになっちゃいますよね」ですとか「リーマンショックの時でもないんだから……」「法的にこういうやり方はまずいんでは?」と職場や家庭で語り合ってしまいます。
さらに、「倍返し」に代表される、流行語大賞になりそうな印象的なセリフの数々も「つっこみどころ」でしょう。
PRの場合は「嘘や曖昧、誇張は厳禁」ではありますが、どのようにしたらSNSや各種メディアで注目してもらえるのかのヒントがこのドラマには隠されているような気がします。