正直者が勝利したシャープのPR 2021/01/21
コロナ禍の緊急事態宣言第二弾真っただ中に、大学入学共通テストの幕が開きました。
これに際して、試験前日1月15日にシャープが同社のTwitter公式アカウントで「明日の大学入学共通テスト、試験中のマスクは英文字や地図がプリントされたものは着用不可だそうですから、シャープのマスクは使えません。ご注意ください。それよりなにより、困難と雑音極まる、かつてない試験に立ち向かおうとする受験生のみなさんに、どうかがんばって。」とつぶやきました。
受験生に迷惑をかけたくないと、わざわざ自社製品のデメリットを正直に公開したのです。
確かにコロナ禍の中で行われる今回の共通テストでは、大学入試センターがマスク着用を呼びかけるとともに「英文字や地図等がプリントされているマスク等は着用しないでください」と、不正を防ぐ注意事項を掲示しています。そのままとれば、SHARPとロゴが入ったマスクは試験場では使用できないことになります。「英文字や地図等がプリントされているマスク等は着用しないでください」とあり、SHARP以外も含めの英文字等が入っているとマスクのみならずシャツほか着用物全般に不可ということになります。
これに興味をもった新聞記者がシャープに取材をし、改めてシャープが大学入試センターにマスクの使用に問題があるのか問い合わせたところ「SHARPの一般用語的な単語の社名であれば問題なし」という回答を得て、「シャープのマスクは差し支えなく使用できるとのことでした」とシャープはTwitterで訂正しました。
このやりとり、どうお感じになるでしょうか? 細かい話を長々と、と思われますか?
受験は、人生で一世一代の非常にデリケートなイベントです。それに対して細心の配慮ともいえるシャープの思いやりあるつぶやき、さらなる親切な後追い情報の追加に当事者である受験生やその親御さんには、ぐさりと刺さり、評価が高騰中とのことです。
最近はパナソニックがマスク市場に参入するなど、一時は話題の的だったシャープのマスクも影が薄くなりつつありましたが、「お客様が気になる情報をしっかりとらえ、たとえ自社に不利になるかもしれない情報も公開していく」姿勢で好感度を高めて、その存在感を再認識させました。
「お客様が知りたいことをしっかり伝える」「真実が自社に不利でも必要ならば正直に伝える」、これがやはりPRの基本であると思い知らされた一幕ではないでしょうか。コロナ禍であれ、平常な日々であれ。