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どうする? チャットGPTとPR・広報担当 2023/05/02

今年の流行語大賞はWBCに決まり……と、思っていた矢先に突然登場し、連日ありとあらゆるメディアを大騒ぎさせているチャットGPT。
全国紙やビジネス系媒体はもちろんのこと、最近では女性誌や昼のワイドショーでも特集を組むありさまです。

いささか「今さら」感もありますが、間違いなく今年の流行語大賞に輝きそうなチャットGPTをPRに携わる者はどう捉えるべきなのかについて記しておきたいと思います。

■チャットGPTのどこが凄いのか?

チャットGPTは、一言で言えば、生成型AIと呼ばれ、スマホやPCで任意の質問をすると、即座に返事を戻してくるAIアプリです。画像や楽曲の生成にも対応します。質問の言語は問いません。

チャットGPTの概要は、簡単に調べることができますので、以下のリンクに委ねます。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ChatGPT

その高機能性に世界中が驚き、生活に脅威を与える等の議論で盛り上がっているわけですが、広報的視点からすると、リリースから数か月で「誰でも知っているレベル」まで知名度を上げ、しかもそれが通常だと一部の人にしか理解されにくい先端ITの話題であることに「凄さ」を感じずにいられません。

AIが女性週刊誌を賑わせるほど話題になったのは、チャットGPTが初めてというわけでもなく、紅白歌合戦で故人である美空ひばりさんがAIによって生成された音声と映像で「新曲」を歌うデモが披露されたり、将棋をAIと人間が勝負したりと、小難しい理科系の世界ばかりではなく、もう何十年も前から折々に耳にするようになった言葉ではありました。

でも、こんな大騒ぎになったことはありませんし、あらゆる層の人々が興味を示している点が凄いと思うのです。

■チャットGPTが一気に認知度を獲得したのはなぜか

人気SNSのInstagramやfacebookを遥かに凌ぐ短期間で億単位の利用者を集め、当初はITに造詣が深い人々の間で熱が上がりましたが、瞬く間に誰もが気になる存在になってしまいました。

IT関連用語でここ数年随所で話題沸騰となった例としてはDXやメタバースなどがあげられますが、それらに比べてもチャットGPTという言葉が社会に浸透した勢いは凄まじいと感じます。

そしてチャットGPTが世に出た状況や社会での取り上げられ方を整理してみると、成功するPRの基本を地で行くような様相を呈しているではありませんか。

① 誰でも体験でき、しかもその成果も誰にでもわかりやすいレベル
② 種別としてはIT系だが利用は簡単で用途は広範囲にわたり、誰もが「自分ごと」化できる
③ 社会を変革する、あるいは揺るがすほどの影響力を感じさせる
④ 幅広いジャンルのオピニオンリーダーが世界中で競うように持論を述べ、「売れる空気」がどんどん高まっている
⑤ どんなに好評でも、提供元がすべてを肯定せず「一部問題もあり、今後改善していく」と協調性のある姿勢

DXやメタバースは、誰でも簡単に体験できるものでもなく、しかも「自分ごと」として捉えるには享受できるメリットを即座に実感しづらいのですが、チャットGPTは誰もが日常的に対峙する「文章作成」で見事なお手本を瞬殺で見せてくれるので、そのありがたみが身に染みてきます。

そこで、チャットGPTに「チャットGPTリリースに際してどのようなPRやマーケティング戦略を施したのか」聞いてみましたが、「リファレンスできるデータはチャットGPTリリース以前のものなのでわからない」いう返事でした。

開発元のオープンAI社によるチャットGPTのマーケティング戦略がどのようなものなのかは不明ですが、同社にここ数年マイクロソフトが多大なる投資をし、今日の隆盛に影響を与えている点が大いに気になります。

いまでこそPCソフト全ジャンルのデファクトスタンダードとして同社の製品は君臨していますが、PCが登場してコンピュータを個人でも使えるようになったばかりの頃には、数多くのライバルが存在していました。それを、従来は有料が当たり前のものを無料でどんどん提供したり(現在IEやEdgeと称されるWebブラウザが代表例)、PCとのセット販売によりお得感を煽るOfficeと総称されるビジネスソフト、さらにはOffice365のサブスク戦略と、ありとあらゆる手段を講じてマイクロソフトはユーザーに寄り添い、市場を勝ち抜いてきたのです。

さらに、マーケティング以前にチャットGPT自体が素晴らしいアプリなのだと思います。
ここで、かつて糸井重里氏がコピーライターとして「いい商品に巡り合えれば、いいコピーが生まれる」というようなことをおっしゃっていたのを思い出しました。
このチャットGPTはそのものの質がよいうえに、リリースに際してそれを誰でも簡単に使える環境で提供し、多くの人が自ら体験してくれ、その使用感は人から聞いていた評価を何倍も上回ると思わせてしまうところが衝撃的なのです。

どんなによい商品でも、PR戦略がイマイチではそれほどブレイクできないことは、PR・広報担当の方なら身をもって実感されているに違いありません。多才な商品の一番わかりやすい部分を万人向けにデモンストレーションした点が、チャットGPTの凄いところでもあるでしょう。

AI自体はチャットGPT登場以前から多くのシーンで大活躍中のテクノロジーですが、チャットGPTがAIを一躍身近な存在にしてしまったのは、そのデビューの仕方や社会へのアプローチの成せるわざだったのではないでしょうか。

■チャットGPTとどのように付き合うべきなのか

今後、GAFA(グーグル、アマゾン、メタ、アップル)をはじめ日本ではリコー等、チャットGPTを追従するアプリを発表すると続々と名乗りをあげています。
技術力の面では、オープンAI社とひけをとらないパワーを備えた企業が数多く控えているのは間違いありません。
ただ、AIが社会で当たり前のように使われる時代の幕をチャットGPTが開けてしまったことで、これからは電卓やインターネット同様に、AIは身近なテクノロジーとして私たちにとって「当たり前の存在」となるでしょう。

チャットGPTにせよ類似の後続AIアプリにせよ、既存データを収集しながら知識として蓄積して精度を高めていくと言われています。チャットGPTのユーザーからの問いかけの中に個人情報や機密情報が含まれていたとしても「知識」として吸い上げられてしまうので、情報漏洩の観点から規制なく利用するのは危機管理に問題があるとの議論も盛んに行われています。

しかし、すでにインターネットに包囲された社会の中では情報漏洩への危機管理はするのが当たり前で、そこを怖れて避けていたら取り残されてしまうでしょう。
「人が時間をかけないとできない仕事を任せる」という感覚で、チャットGPTをはじめとする便利なAIはどんどん使えばいいと思います。

電卓の登場で計算に要する時間が大幅に短縮されたのと同様、AIは「読みやすくまとまりのある報告書やプレスリリースの作成」などには格好のツールとなるでしょう。

チャットGPTは問いかけに対してまことしやかに嘘をつくという点でもよく揶揄されていますが自作の報告書やレポートも事実誤認がないかの確認は必須ですから、AIに任せた文章も校正は怠らないようにすればよいのではないでしょうか。

つまり、便利だからとなんでも頼るのではなく、「人出不足でアルバイトを雇う代わりに任せられることをAIに代行させ、スタッフでなければできないことだけを人間に任せるようにする」という発想であるべきです。
使ってみればわかりますが、チャットGPTは質問の仕方次第で返事の質が変わります。
使う側も「適格な答えが戻るにはどうしたらいいか」を学ぶ必要があるのです。

危機管理等に関しては、AIと共存する社会が落ち着くまでは機密に触れるような話題を投げかけないようにするなり、使う側にも注意が必要です。

すでに音声処理機能で、特定の人物の音声をコピーして電話をかける詐欺まがいの事件が起きていたりと「物騒な世の中」を加速させることも間違いなさそうですが、社会の一部にAIが入り込んでくる以上、怖がってばかりでは後れをとるだけです。

政府の規制方針などにも目を配りつつ、安全な範囲で任せられるところはどんどん任せてみる、創作物としてはモラルを考えて運用すれば、これこそ誰にでも簡単にできるDX足りえると確信します。

■まとめ
PRの基本でもありますが、「誰にでもわかる」「自分ごと化できる」ようにPRしたい商品等を紹介することが普及の一歩です。
しかし、これだけインターネットだロボットだと新しいテクノロジーが当たり前のように社会に同化してくると、今後は一筋縄では理解できないようなPR素材も多々登場してきそうです。

その点私たちは、これまで数多くのIT関連のPRを手掛けてまいりました。
平易に誰にでもわかる言葉で新技術をPRする手法も日常的に提供しています。

目まぐるしく変動する社会に、新しい技術やサービス、商品を自然体でなじませたいといったご要望があれば、ぜひご連絡ください。

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