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PR上向きな、今年のMLB球宴を俯瞰してみる 2021/07/16

東京オリンピック開催も間近になってきましたが、その前に米国のオールスターゲームが日本中を興奮の渦に巻き込みました。

いわずとしれた、大谷翔平選手の大活躍で、テレビからWebから同選手の話題でもちきりの毎日。これではスポーツで多少の勝負を見せられても、盛り上がりきれない気にさえなってきます。
いろいろな意味で、東京オリンピックの顛末が心配になります……それはさておき。
大谷選手がすごいのは、日本のみならず、彼が現在活躍するアメリカをはじめ世界中の国々で注目を集めている点でしょう。アメリカ以外の英語圏をはじめ、韓国や台湾といったアジア圏のメディアまで「オータニさ~ん」のニュースで連日盛り上がっています。

経済効果も半端なく、経済効果算出で第一人者と言われる宮本勝浩関西大学名誉教授は「大谷選手で動いた経済は240億円余り」だと試算します。内訳は、彼に集まったスポンサー契約料、応援ツアー関連で動いたお金、観客動員、グッズ、全世界レベルの試合放映権にまつわるものなどなど、きりがないとのこと。

スポンサードする企業(明治、三菱UFJ、アシックス、SEIKO等)は数十社にのぼりますが、アドバイザリー契約を結ぶデサントは、上場以来最高値を更新するほどの様相を呈しています。ホームランを量産した6月だけで株価は162%上昇したそうです。

この現象は、もちろん大谷選手の非現実的ですらある活躍によるものと言わざるを得ません。それに加えて、アメリカのプロ野球機構であるMLBの人種を越えた大谷選手への厚遇ぶりも見逃せません。アメリカ人にとって野球は国技です。突然登場したアジア人の投打はもとより走塁に至るまでのスーパープレイぶりに魅了されたとはいえ、伝統のオールスター戦のルールまで改変してしまいました。過去に例がない一選手単独出演のCMが制作されたり、細かい面も含めるとMLBは大谷選手を特別扱いしているように感じられるほど、アメリカ野球の看板のように前面に押し出しています。そしてファンも一丸となって大谷選手に声援を送っています。

背景には、MLBがここ数十年間、観客動員数や興行収入でNFL(フットボール)やNBA(バスケットボール)に水を開けられ、サッカーからも猛追されて追い込まれてきている事情があります。なんとかアメリカにおけるスポーツの王者に帰り咲くために、MLBは人気回復のために数々の施策を講じてきたのです。

球場を試合観戦の場としての「スタジアム」から多面的に試合を楽しめる「ボールパーク」へ転換を図り、快適な座り心地の座席の用意、場内スタッフのマナー改良、さまざまなサービス、野球場の概念から逸脱した飲食メニューなどなど試行錯誤を続けてきました。

そして、特徴的なのは、スポンサー契約やキー局放映権、グッズ販売等を球団単位ではなくリーグが一元管理していることです。これによって、球団の成績に関わりなく各種案件の交渉を進めることができます。球団の成績の良し悪しで人気も上下しますが、お金に関する案件は、そうしたチームの状況に左右されることなくマネジメントされるのです。全球団に関して窓口をひとつにまとめることで、交渉も有利に運べます。

実際こうした施策で、MLBは少しずつ増益することに成功しています。
大谷選手の扱いも所属球団中心ではなくMLBが人気立て直し施策の一環として総力を挙げて取り組んだことが功を奏してここまで大きく盛り上がったのではないでしょうか。

大谷選手の存在は、誰をも幸せにし、楽しくさせています。経済もぐんぐん右肩上がりにさせています。PRするうえでは、スター選手を起点にした理想的なマーケティングを組むことができます。

コロナ禍もあり、どちらかというと苦しい状況が続く昨今ですが、MLBを見習ってあらゆる障壁をとっぱらい、総力でPRに取り組んでみるのも一興ではないかと、今年の米国オールスターゲームをステイホームで観戦していて考えたものでした。ただし、今年のア・リーグの球宴特注ユニホームだけは、米国ファンの厳しい評価同様に、デザイン性いかがなものか・・というのが率直な感想です。何はともあれ、大谷くん、ありがとう!

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