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『カムカムエヴリバディ』が連日トレンドワードになった法則 2022/04/05

朝ドラの愛称で親しまれる、NHKの連続テレビ小説。『おしん』の50%超を筆頭に高視聴率の象徴というイメージが強いですが、昨今は20%を割る作品も少なくありません(もちろん他の番組に比べれば、20%弱の数字を出せているだけでも十分立派なのですが……)。

2021年度後期作品『カムカムエヴリバディ』が間もなく最終回を迎えますが、視聴率は18%前後に留まり、20%を超えることは最後までなさそうです。
が、この作品、SNSでのBuzz(バズ)られ率がとんでもないことになっています。

■OA直後から複数の関連ワードがバズる
Yahoo!に「話題のキーワード」というサービスがあることは、ご存じだと思います。
2007年から提供されており、Twitterで盛り上がっている検索キーワードとその検索回数の集計結果を一覧にし、随時更新しています。この一覧にランクインすると「トレンド入り」と称され、さらに注目度が高まるのです。

テレビでは「トレンドワードランキング」を毎日紹介している情報番組も少なくありませんし、バラエティ番組のネタ元として活用されてもいます。
広報担当者であれば、プレスリリース配信時には何としても「トレンド入り」を果たしたいところでしょう。

それが、『カムカムエヴリバディ』(以下『カムカム~』)はOA直後から関連キーワードが複数個ランクインする現象が番組スタート時からずっと続いています。元々朝ドラは「トレンド入り」の常連ではあるのです。ただ、『カムカム~』は話題になる頻度が尋常ではなく、注目せざるを得ません。

■バズられるメリット
バズられるメリットについて整理しておきましょう。
基本的にネガティブな話題ではないことが前提ですが……。
①新規ファンや顧客の獲得
②フォロワー数の増加
③顧客との信頼関係が高まる

このような効果があるとされています。

■バズられるにはどうすればいい?
TwitterやInstagramでバズられるにはどのような投稿をしたらいいのか、整理してみました。

①テーマが誰にでも(あるいは注目してもらいたい層にとって)身近であること。いわゆる自分ゴト化させるような話題。
②広告・宣伝色がない投稿。
③意外性のある内容。
④有益性がある内容。
⑤議論になりやすい話題。
⑥エンターテインメント性がある。

というような要素に大別できるのではないでしょうか。
シンプルですが極力簡潔に分類しました。
では、それらを現在OA中の朝ドラ『カムカム~』に即して考えてみます。

■『カムカム』のバズり要素一覧
①ドラマの内容は波乱万丈で意外性だらけだが、主人公の生きる環境には多くの人が郷愁を感じる身近さがある。
最初のヒロインのタームでは、戦没者や生き別れになった近親者のエピソード。進駐軍のこと、さらに今では信じられないような家族制度やしきたりの話等々。
真ん中のヒロインが演じる高度成長期時代では、ジャズの流行や当時のファッションといった現象の数々。

現代に近い時代を演じる三番目のヒロインは、甘酸っぱい失恋や先行きの定まらない自分への葛藤といった誰もが経験してきた甘酸っぱい思い出が散りばめられています。

② NHKの番組なので広告色は元々ない。

③劇中に面白いほど古い商品名や番組名のパロディが登場する。
「NHKの番組なので広告色はない」と述べましたが、実はこのドラマには過去に実在した映画やドラマの名前や商品名を想起させるパロディが頻出します。

たとえば劇中登場する映画名『破天荒将軍』は『暴れん坊将軍』、『金太郎侍』は『桃太郎侍』を彷彿とさせます。クリスマスシーズンに流れるCM音楽の定番中の定番である山下達郎さんの『クリスマス・イヴ』に載せて、そのCMに出演した深津絵里さん(『カムカム~』の二番目のヒロイン)がさりげなく歩いてくるシーンがあったり……。

ほかにもかつて大ヒットしたコミックや電気製品、お菓子などの商品名のパロディだとすぐわかるような体裁で、次々と視聴者を楽しませます。
もう、これでは話題にせずにはいられなくなるでしょう。

④かつての貴重な映像が数々登場。
これを有益性と言うには無理があるかもしれませんが、パロディのみならずNHK制作の番組に関しては連続テレビ小説の第一作目や『おしん』等、尺は短いものの数作本物の映像が流れています。また、かつて流行した歌謡曲も多数盛り込まれています。
そしてこのドラマは「ジャズ」がひとつの軸になっているのですが、あの、巨匠・渡辺貞夫さんの映像まで登場しました!

⑤役名表記やドラマの随所に仕掛けがあり、つい「あれ気づいた?」と人に話したくなる。
登場人物は、ストーリーがある程度進行するまで役名が「名前」ではなくニックネーム的な表記でオープニングで主題歌とともに出てきて、どんな役柄なのか、筋書きの展開にどう影響するのかと、視聴者の期待感をそそりました。

特に、最終回間際には、最初のヒロインがその後どうなったのかで話題沸騰となりましたが、新しい出演者の役名表記がなんとも意味深長で「実は最初のヒロインの現在の姿では?」と推理する人が続出。役名が気になってチャンネルを変えられなくなった方も少なくないと聞きます。

二番目のヒロインの結婚相手となったオダギリ・ジョーさん演じる役柄は当初「宇宙人」と表記され、さらに三番目のヒロインの交際相手は「ぶっきらぼうな男」の表記でスタート。
ご近所の酒屋さんの主人を演じるおいでやすこがの小田さんは「キレる芸風」のお笑いで知られていますが、彼の前掛けには「キレの良い店」と印刷されていました。

三番目のヒロインがよく訪れる蕎麦屋さんのメニューもよく見ると、登場人物をもじったような品名が並び、思わず笑ってしまいます。
三世代にわたる物語ですが、周囲の関係者も何組か親子数世代で登場しており、それが親を演じた俳優さんが子どもの成長後を演じるといった演出も楽しめます。

➅連続テレビドラマ小説としては初(あるいは初に相当)の試みが仕掛けられた。
母娘三世代の100年物語を描いているという点が、まず朝ドラ史上初です。
2番目のヒロインである深津絵里さんが十代からアラフィフまで演じます。
この2点を筆頭に、「え!」と驚かされる演出が多いのです。広報活動でも「初」というのはたいせつなキーワードですから、こうした演出が効果を発揮していることはご理解いただけるでしょう。

前のヒロインの動向は不明のまま、次のヒロインの物語へとドラマが進行する点も視聴者の興味を最後まで引っぱり、また「回収してない事柄」という言葉が『カムカム~』への投稿に頻繁に出てきます。

これはヒロインが入れ替わるごと、ひとつ前のヒロインやその周辺の人々がどうなったのか明かされないまま物語が進行する展開の脚本によるものです。

視聴者の間では常に、「結局●●さんはどうしているの?」「の話はどうなった?」といった話題や議論が絶えない仕掛けになっています。
まるで推理小説のような流れで、最後まで惹きつけられるのです。

『カムカム~』の話題づくりはまさに、SNS時代の申し子のような、お手本のような、学び多き法則が散りばめられていると確信しました。

間もなく最終回を迎える『カムカムエヴリバディ』の、連日トレンドワードになっている法則を見出してみました。トレンドワードへと誘導することは簡単ではありませんが、何かしらの法則を立てて、仮説検証を繰り返すことで、光明がみえてくるのではないでしょうか。
当社では世の中で話題となっている様々な企画に携わっております。PRに関するご相談がありましたらお気軽にお問合せください。

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