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PR的研究の価値あり! 趣味としての市場規模は年間数百億円の「鉄道産業」 2022/06/17

JR東日本の2021年度の最終損益が900億円余りの赤字となったことをはじめ、鉄道産業各社は軒並み苦境にあえいでいます。

コロナ禍による乗客数の激減に加え、度重なる災害から車輛や施設の修繕費も嵩むなど、「踏んだり蹴ったり」を画に描いたようなここ数年。
しかし、趣味・レジャーの市場では鉄道周辺は非常に元気なのです。

旅行関係を除いた、乗り鉄/撮り鉄/呑み鉄/駅弁/模型/ジオラマといった様々なかたちで「鉄道」は多くの人々を魅了し、こうした趣味の世界での市場規模は年間数百億と言われています(現野村総合研究所著の『オタク市場の研究』や2021年矢野経済研究所プレスリリースより)。

マニアックに愛する人々=ファンの総数は、「鉄道」は航空機の3~4倍、バスの約10倍存在するとか。鉄道ファンの増加要因は車輛のモデルチェンジが頻繁で、撮影やデザイン、模型といった各種角度からの愛好者の心を離さない等、数多くの説があり、それ自体ファンの話題を盛り上げるのだそうです。

確かにテレビ欄を開けば、CSの専門チャンネル以外に地上波やBSでいくつもの「鉄道関連」の番組が連日OAされており、人気のほどがわかります。

しかも、今年2022年は日本で鉄道開業150周年と、例年以上に多種多様なプロモーションが毎日のように各地で展開されています。

世情や天候等により本業での収入がどん底な時でも、こうした「ファン」を抱えている企業は強いのです。どんな状況の時でも、あの手この手で市場を盛り上げ、話題を絶やしません。イベントやキャンペーンは派手なものではないのですが、ファンを夢中にさせる勘所をとらえた軸があり、それだけに息が長いようです。

鉄道もののイベントにはグッズ販売や飲食の出店もほぼ必須となっていますから、コラボにも有効なマーケットです。年齢性別問わず愛される鉄道産業の動きはPRの参考としても好適でしょう。どのようなキャンペーンがあるのか、少しご紹介してみます。

➀本来あり得ない列車の運行
 過去に運行されたSLや寝台車といった人気車輛を期間限定で復活させ、さらにそれらに別の車輛をつなげて乗客を募って運行するといったもの。社内では元鉄道マンたちが昔話を披露したり激レアな賞品を用意したクイズ大会等のイベントも開催。
 例:「東北新幹線開業 40 周年記念号」「新幹線リレー号」「国鉄色特急列車はつかり号」をリレーで運行/2022年7月
東武 南栗橋車両管区 SL大樹 3重連運転(ツアー)/2022年

②撮り鉄向け撮影大会で安全に存分にカメラを振る
 何らかのテーマを設け、関連の車輛等を一堂に集めて撮影大会を開催等。静止状態の車輛の撮影だが、普段は入れない運転席などを見学できることも。併設で鉄道関連グッズの販売やトークショウほか。
例:相鉄・東急新横浜線 鉄道7社局撮影会/2022年
 いすみ鉄道撮り鉄バスツアーほか。特別に用意した場所での撮影大会や、観光バスならぬ列車としてハイキングに好適な場への運行+イベント/随時

③百貨店や大公園でも開催されるフェス
京王百貨店新宿店では、ほぼ毎年鉄道をテーマとした膨大な集客数を見込んだイベントを開催。改装前の東急百貨店渋谷店でも恒例化。鉄道の日・10月14日にはコロナ禍前までは毎年日比谷公園で鉄道フェスティバルが開催。各内容は往年の人気車輛のヘッドマークや操縦桿などの廃品となった部品販売や過去のプレミアムグッズ(プラモデルからクリアファイルまで)、鉄道関連書籍、玩具、駅弁等の物販やジオラマの展示、操縦席やシミュレーターの展示と操縦、アイドルや有名人を招へいしたステージなど。

④異業種コラボ
鉄道を題材としたゲームが『桃太郎電鉄』『電車でGo!』をはじめ、数々開発されていることはすでに有名。数十年前の大ヒットゲーム『オホーツクに消ゆ』のストーリーに沿って実際に北海道で電車ツアーが組まれるというコラボも実現している。ほかにも実在の車輛をモチーフとしたTシャツ、銚子電鉄のまずい棒で有名な鉄道関連の各種お菓子、カプセルトイ(車輛や駅名掲示板、駅弁等)と関連グッズは数知れないほど展開されている。JALが銚子鉄道とコラボして機内で銚子電鉄グッズの試供品プレゼントを行ったこともあった。

ラッピング電車やホームの発車メロディーに至っては、エヴァンゲリオン、鬼滅の刃、アンパンマン、ポケモン、人気ドラマ、ヒット曲と枚挙にいとまがないほどだ。
特定鉄道の沿線に多数出展しているチェーンなどが相乗りしたスタンプラリーも相乗効果があるという。

➄問題点を直視した「撮り鉄コミュニティ」の設立
最後に撮り鉄言えば、人気車輛をホームで撮影することに夢中になるあまり、運行に支障を来すレベルの迷惑行為が社会問題にさえなっているところ、2021年にJR東日本スタートアップとファンコミュニティを運営するミーチューが、撮り鉄ファン向けに「撮り鉄コミュニティ」を設立し、意識やマナーの向上を踏まえた議論の場としてのSNS https://mechu.chat/join_/?id=525329468525329501525328722や安全な撮影イベントの運用を開始した。

このコミュニティの設立は非常に意義があり、こうした自浄作用の推進により、従来より協賛のあったカメラ機材メーカー等も安心して支援を続けられる環境づくりだと言える。

■2022年および近く予定されている鉄道関連ビッグトピックス
1)鉄道開業150周年/2022年
2)相鉄・東急直通運転開業/2022年
3)長崎県九州新幹線開業/2023年
4)福井県北陸新幹線開業/2024年
5)リニアモーターカー開業/未定だが2027年あたり?

PRのやり方はさまざまあると思います。
潜在的な実力はあるものの、自社製品の知名度が低い、派手さに欠けるといった理由でどのようにPRしたらよいのか悩むまれている方は、鉄道のように定常的に人気のある市場とのコラボも一興ではないでしょうか。今後の鉄道産業、改めて要注目です。

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