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完全試合男・佐々木朗希選手と、見逃せないパの広報戦略 2022/04/27

今年は例年になく、熱い視線が寄せられる日本のプロ野球。
何といっても注目の的は、あわや2試合連続で完全試合を達成しそうになったロッテの佐々木朗希選手でしょう。連日彼を中心に年齢性別を問わず野球の話題で日本中が盛り上がっています。米メジャーリーグ(MLB)でも大谷選手に加えて鈴木誠也選手も大活躍とうれしい限りですが、それを凌駕するほど、今年は日本のプロ野球が暗い世相に明るい光を注いでくれます。

佐々木選手が話題になるのは、前人未到と言われる160km超えの剛速球を連続して出してくるという、「誰にでもわかる凄さ」によるものだと思います。

これまでプロ野球のことはよく知らなかった層でも、簡単に理解できる「驚き」「エンタテインメント(楽しさ)」です。打者と投手を一人でこなす大谷選手、何十戦も勝ち続ける将棋の藤井聡太棋士と通じる「漫画的楽しさ」が佐々木選手にはあります。

そして佐々木選手は野球以外の話題も豊富で、さまざまな角度から彼を語ることができる点も息の長い人気者として君臨しそうな気配を感じさせます。

たとえば、彼が高校野球時代にエースで四番でありながら、甲子園への切符をつかめるか否かがかかった試合に出場しなかったことに賛否が分かれ、「根性論」「高校野球のあり方」等にまで大論争が繰り広げられました。ロッテ入団後も鳴り物入りの大型新人であったにもかかわらず、一軍で活躍するようになるまで数年温存されました。これが今年開花したことから、企業における人の使い方論までに転じて議論の輪が広がっています。そして、岩手大船渡出身で3.11被災者であること等、佐々木選手のエピソードは広範囲にわたります。

さらに、今年の日本のプロ野球が熱いことで着目したいのは、その佐々木選手を擁するパ・リーグの広報戦略です。

実は、この10年ほどの間にかつて言われた「人気のセ(リーグ)、実力のパ(リーグ)」の構図が崩れつつあるほど、パ・リーグは観客数動員でセ・リーグを猛追中です。しかも交流戦やオールスター戦、日本シリーズの勝敗は、依然としてパ・リーグの強さが目立ちます。

その要因として、「人気」に関してはこの約10年、パ・リーグがファン獲得にかけてきた凄まじいパワーの成果だと言えるかもしれません。

■セ・パで大きく異なる広報体制
そもそもセ・リーグの人気が高かったのは、王さん・長島さんに代表されるスーパースターの存在と、プロ野球公式戦の中で巨人軍の試合のみほぼ100%お茶の間のテレビで観戦できたことが原因だとされています。

ところが、社会の興味が野球からサッカーなどに移ろううちに、巨人戦すら毎回地上波でお目にかかることはできなくなりました。

では、パ・リーグはどうでしょうか?
地上波の放映試合が以前より増加しただけでなくBS、CS、ネット放送まで入れると、現在はパ・リーグのほうがLIVE放映されるチャンネル数は多いのです。
また、SNSに関してはパ・リーグは全チームがTwitterやFacebook、Instagramのいずれかのアカウントを有し、ファンサービスに余念がありません。特定選手がファンからの質問に直接答えるといったシーンもしばしば見受けられます。

パ・リーグ全球団が出資して宣伝や興行を取り仕切る「パシフィックリーグマーケティング(PLM)」なる会社も2007年に設立され、リーグが一致団結したキャンペーンを頻繁に行っています。同様の団体はセ・リーグにはありません。

PLM設立の経緯は、2000年台前半にパ・リーグは観客動員数の不振等により運営自体が苦しい球団を複数抱えることとなり、2004年には1リーグを6チームで運営できない可能性をはらむ、リーグの一大危機に直面したことによります。ホリエモンこと堀江貴文氏が球団買収に乗り出したり、2チームを合併させて5球団制を検討するなどした時代です。
この「大迷走時代」を乗り越えるべく、パ・リーグが断行した多くの改革の一環としてPLMが誕生しました。

球団の壁を乗り越えた広報が米MLBで威力を発揮していることは、以前弊社のホームページに掲載したコラムで紹介しました。
『PR上向きな、今年のMLB球宴を俯瞰してみる』

PLMはMLBのようにスポンサー契約まで仕切るわけではありませんが、チームの壁を越えなければ実現不可能なキャンペーンをいくつも開催しています。

PLMの存在とその成功が観客動員の数字に表れ、パ・リーグ全体に「協力し合ってファン獲得活動をするメリット」はすでに浸透していると思われます。
そこへ令和の怪物佐々木選手の相次ぐ完全試合ショーとなれば、ロッテだけでなくリーグ全体の宝として今季を盛り上げていく予感がします。

最後にPLMが中心となって、これまで実施されてきたキャンペーンを列記します。今後パ・リーグの広報戦略がどこまで爆発するのか楽しみです。

パ・リーグTV
パ・リーグ全試合の生中継配信サイト。過去の試合の視聴もできるほか、選手の各種データ、チーム別動画・静止画集等も用意。

パ・リーグウォーク
スマートフォンにダウンロードして使用する歩数計だが、日々の歩数が登録した応援チーム別に集計され、ユーザーの歩数合計でチームのランキングを競う遊び心のあるアプリ。厚生労働大臣優秀賞受賞(2020年)。

パ・リーグ スポーツ転職フェア
パ・リーグ6球団ほかのスポーツ関連企業と求職者をつなぐ中途採⽤イベント

パ・リーグ 親子ヒーロープロジェクト
パ・リーグ6球団にウルトラマンほか円谷プロの人気者がコラボイベント。円谷プロは特定球団とだけのタイアップは同プロダクションの方針として従来許諾していなかったが、パ・リーグ全球団からのオファーということで実現した企画。

コロナ禍等で広報活動に苦労を強いられる中、関連企業や同業者の方々と団結して市場を広げる広報体制を検討されるのも一考ではないでしょうか? 弊社にもお気軽にご相談ください。

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