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PRにも使える大阪・岩手知事の、無用に敵をつくらない暗喩的表現 2020/05/22

毎日のように、地方自治体の首長の発言がクローズアップされます。
その中で、“しゃべりの上手さ”で突出していると評価されるのが、大阪の吉村知事。彼が師匠と仰ぐ橋下元知事や松井大阪市長同様に少々過激な論調も人気ですが、西村大臣とのやり取りで「悪いと思ったらすぐに謝罪」も実に潔い。
言い回しも上手だけれど、無駄な争いを避けて冷静に必要な議論に時間とパワーを注ぐ点も好印象でしょう。
彼の「伝え方の上手さ」に関しては、いずれまとめて整理してみたいと思いますが、最近感心したのがSBの孫正義会長とのやりとり。
孫会長が大阪府に対して新コロナウイルス抗体検査キットの無償提供等を提案された際に、キットの品質や孫会長の行為に関して一般から批判的な意見が噴出しました。これに対して孫会長は「好意のつもりが逆効果を生み申し訳ない」と大阪府に謝罪したのですが、吉村知事は「(孫さんは悪くない)批判は私へのもの」と場をとりなし、さらに孫会長が坂本龍馬好きなことを持ち出し、龍馬が愛した『薩摩の教え』で最低とされているのは「何もせず批判だけしている者」だと締めくくりました。孫会長の行為を批判した人々を、直接ではなく『薩摩の教え』を使って暗に否定したのです。
首長という立場上、不特定多数の一般を直接的に戒めることはせず、歴史的名言で代えて気持ちを伝えました。ここでも無駄な争いを回避しています。
同様に、いまだに感染者ゼロで地味ながら高い評価を得ている岩手県知事は、かつての東北地方である奥州の藤原氏が京から逃れてきた源義経を討った直後に滅んだ例を挙げ「他県の人を虐げないようにしましょう。歴史的教訓です」と論じて県民に対して他の地域の人とのう協調を訴えました。
こちらも、上から押さえつけるように言われるよりも心に沁みます。
言いづらいメッセージを八方丸く収まるように伝えたいことは、広報に従事している方なら少なからずあるでしょう。大阪と岩手の両知事の史実を使った巧妙な表現、参考になりませんか?

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